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- 心房細動
心臓は、規則正しいリズムで全身に血液を送り出すポンプとして大切なはたらきをしています。心房細動は心臓の動きが突然速くなったり、止まったりして心臓の拍動リズムが不規則になる不整脈の一種です。心臓には左右にそれぞれ「心室」と「心房」と呼ばれる部屋があり、「心房」と呼ばれる上の2つの部屋で生じた異常な電気的興奮により起こる不整脈です。心房細動が生じると、心房が痙攣したように不規則に震え、結果として、脈が不規則に速くなるのが 特徴です。
原因
心房細動は、糖尿病や高血圧症などと同じように一般的な病気です。 心房細動の発症リスクは 加齢とともに増加していきます。加齢のほか、高血圧、弁膜症、狭心症、心不全、心筋梗塞などの心臓に関連 した病気、糖尿病、また飲酒や喫煙の生活習慣やストレスも原因となります。
症状
心房細動の症状は人によって違い、動悸、脈が飛ぶ、胸部の不快感、胸の痛み、息苦しさ、運動時の疲労感、めまいなどの症状が起こります。しかし、約50%の患者さんは症状を自覚しないといわれています。なので日常の診察時には患者さんの心音の聴診を必ずするよう心がけています。
心房細動は直接には生命の危機を伴うものではありません。しかし、心房細動が起こると、心房内から血液がうまく送り出されなくなり、血液の「よどみ」が生じ、血栓(血液のかたまり)ができやすくなります。この血栓が血流にのって脳にまで運ばれ、脳の血管を塞いでしまうのが脳梗塞です。
診断方法
問診、心電図、ホルター心電図(携帯型の心電図計を用いて、24時間の心電図を連続記録します)、心臓超音波検査(心臓の機能や弁膜症などを調べます)、胸部レントゲン、血液検査(心房細動の原因となる甲状腺機能や心不全の状態を診るBNPなど)。これらはすべて当院で行えます。
治療法
患者さんの持つ他の疾患や年齢などを考慮し、患者さんのご意向をふまえて決定します。 心房細動の治療は3つのステップで行います。
ステップ① 心房細動の原因の管理
食事やアルコール、運動、睡眠、ストレス解消など生活習慣を見直し、高血圧や糖尿病があれば食事療法や運動療法、必要に応じて薬物療法も行います。
ステップ② 脳梗塞の予防(抗凝固療法)
脳梗塞の原因となる血栓ができるのを防ぐため、患者さんの病態や脳梗塞リスクに合わせて抗凝固療法を行います。とくに65歳以上、高血圧、心不全、糖尿病、脳梗塞になったことのある方は、心房細動から脳梗塞になりやすいため注意が必要です。従来の抗凝固療法には食事に制限がありましたが、近年登場した抗凝固療法には食事制限が不要なものもあります。
ステップ③ 心房細動の治療(薬物療法、カテーテルアブレーション)
心房細動の治療には、心房細動を受け入れてうまく付き合っていく方法(レートコントロール)と、心房細動そのものを取り除く方法(リズムコントロール)があります。
レートコントロールは心房から心室へ伝わる信号を減らすお薬を使い、心拍数をさげてドキドキ感や息切れなどの症状をやわらげます。心房細動が生じたままなので抗凝固療法の継続が必要です。
リズムコントロールでは、これまで主に心房細動の発作を抑制する抗不整脈薬による薬物療法がおこなわれていました。しかし、完全な抑制が困難なことが多く、抗凝固薬の併用が必要になることや、抗不整脈薬により徐脈や他の不整脈を引き起こす副作用も多いことから、近年では心房細動の根治を目指す治療として、カテーテルアブレーションが選択されることが増えています。カテーテルアブレーションでは、カテーテルという細い管を足の付け根から血管(静脈)を通じて心臓に入れ、心房細動の原因を発する部位(肺静脈の入口付近)を冷凍あるいは焼灼します。当院でも適応があればアブレーションの出来る施設への紹介をしています。